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千葉都市モノレール

社会交通1年 相場智博


・はじめに




写真1 千葉都市モノレール


 そもそも皆さんは千葉都市モノレールとはどんなモノレールかご存知だろうか。千葉市内の森や建造物をすり抜けるかのように走行している小規模のモノレールである。そのためローカル路線であるため知らない人は多い。そのようなマイナー路線ではあるが実はギネスに認定されている偉大な列車でもある。そこで今回は社会交通の教授が携わったという小規模ながらも千葉市の偉大な乗り物である『千葉都市モノレール』にスポットを当ててみた。



第一章 そもそも千葉都市モノレールとは・・・

 千葉都市モノレールは、2001年6月27日付けで「懸垂式モノレールとしては、営業距離世界最長(15.2km)」の認定を受けた。正式には、「the largest suspended monorail train system in the world,at 15.2km」として認定されている。
 モノレールには「懸垂式」と「跨座式」の二種類がある。前者は湘南モノレールが似たような形式を採用しており後者はゆりかもめなど数多くのモノレールにおいて採用されている。そして千葉都市モノレールでは前者の方式を採用している。
 話が戻るが、千葉都市モノレールでは1995年8月の延伸(千葉〜千葉みなと間)で営業距離が13.5kmとなりドイツ・ヴッパタール市のモノレール13.3km(営業距離)を抜き懸垂式モノレールとして営業距離世界最長となった。なお1999年3月のモノレール1号線(千葉〜県庁前間)の延伸に伴いイギリスの・ギネスワールドレコード社へは、上記の延伸区間を含めた15.2kmで申請を行いさらにギネス記録を更新した。今後、1号線がさらに延伸する可能性があるためギネス記録が更新される可能性もある。



第二章 運転の概要


表1.千葉都市モノレールの詳細
1号線2号線
路線千葉みなと〜県庁前千葉〜千城台
営業キロ3.2km12km
駅数6駅13駅
平均駅間距離0.9km
開業時期平成7年8月1日
千葉みなと〜千葉
昭和63年3月28日
スポーツセンター〜千城台
平成11年3月24日
千葉〜県庁前
平成3年6月12日
(仮)千葉〜スポーツセンター
所要時間約10分約24分
表定速度約20km/h約30km/h
車両形式サフェージュ式懸垂型モノレール
車両定員2両編成168人
運転方式ワンマン運転方式
運転保安設備ATC




第三章 車両の紹介

 千葉都市モノレールでは、千葉市内の道路事情や環境に最適と考えられるサフェージュ式懸垂型モノレールを採用している。その特徴は以下の通りである。

  1.  箱形軌道の中に車輪、台車、主電動機などの走行装置が組み込まれ、車輪にはゴムタイヤを使用しているため、騒音や振動がほとんどない。唯一揺れるのは走行路線が切り替わる時位である。
  2.  曲線の多い路線でも、懸垂リンクの作用で車両の横揺れが少なく、案内輪の作用により小さな揺れを防止できる。
  3.  鋼製支柱のため設置余裕幅が狭いので道路幅をあまり広く必要としない。
  4.  支柱、桁が工場製作のため工期が短く周辺道路の影響を最小限にして作業を進めることができる。
  5.  走行路面が軌道桁に覆われているので、雨や雪の影響をほとんど受けない。
 千葉都市モノレールの車両にはアルミ合金製ですべて運転台付きの電動車2両固定編成である。形式は1000系の1形式のみですが、導入時期により1次車から4次車があり、現在18編成が運行に就いている。なお、通常は2両編成で営業運転を行っているが3次車及び4次車(合計8編成)については、連結して4両編成の運行が可能である。朝のラッシュアワーの時間にたまに見ることができる。
 外装においては、シルバーボディの車両をベースにシンボルカラーであるコバルトブルーとスカイブルーのラインカラーをあしらった車両外装となっている。開業以来、同一のデザインを守っていたが平成12年より車体広告(ラッピング広告車)を開始している。<写真2,3>そのため一風変わったデザインの車両も運行するようになった。また、3次車より行先表示器が字幕方式からLED 方式となり、車体側面にも行先表示器が設置された。




写真2 車両の側面



写真3 車両の前面


 内装において、車内はロングシートのみで構成されている。シートはリニューアルが行われ赤紫の花柄シートとなっている。<写真4>なお写真は1次車だが2次車以降の車両では、運転室の後ろの座席を撤去し、1編成あたり2か所の車イス対応の多目的スペースを設けている。




写真4 車両内部



・第四章  今後の展望

   千葉都市モノレールでは今後2つの大きなプロジェクトを打ち出そうとしている。1つは1号線の延伸。2つ目は新型車両の導入である。
 新設された1号線は現時点では千葉みなと〜県庁前間のみの運行だが今後さらに延伸する可能性がある。計画では県庁前〜星久喜地区までの延伸を計画している。星久喜地区まで伸ばすメリットは以下の通りである
  1. 星久喜地区から千葉駅までのアクセスがバスに限られている。
  2. この地区には大規模な病院、運動施設があり他方面の利用者のニーズが存在するということ。
  3. 沿線に高校や大学などが存在するため通勤通学の足となることを見込んでいる。
 また、最近になって新型車両を導入しようとする動きが出てきた。全体の外観を黒地の水色のラインをあしらった今までにない斬新なデザインとなっている。内装においても極力運転スペースを狭くして先頭部を開放し、懸垂式ならではの空中からの眺めを楽しむことができるような構造になっている。



・最後に

 現在の千葉都市モノレールの財政状況は危機的状況にある。千葉市の管轄にあるにも関わらず大赤字を抱えており新聞にも掲載されたこともある。初乗り運賃の高さや企画時の試算の甘さなどが今になってツケが来ているのが今の現状であるが、これらの斬新な企画によって黒字経営に立ち直り、またより利用しやすい路線に生まれ変わる日がとても楽しみである。自分の最寄り駅がこのモノレールの駅が最寄り駅ゆえに自分の生活に密着しているだけあって今後の動向がとても楽しみである。


 
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